06.BAD END

 俺は屋上へ走った。階段を二段越しに駆け上がる。息が荒くなる。足が階段を上がるたびに動かなくなっていった。それでも俺は止まらなかった。
 二分後、屋上への入口の前にたどり着いた。体がだるい。だがここで休んでいる暇はない。
 ドアの取っ手に手をかけると、それを右に回した。そしてそれを勢いよく開けると屋上へ飛び出した。フェンスの向こう側には、今にも飛び出しそうなとしきがいた。
「何やってんだ!こっちに戻ってこい!」
 必死に呼び止めるが、としきはそれを無視して俺に背を向けたままでいた。
「おいやめろ!」
 俺はとしきの元へ駆け出した。間に合え。ただそれだけを考えていた。
 その時、としきはこっちに顔を向けた。俺は彼の顔を見た瞬間思わず立ち止まってしまった。
 笑顔だった。いつか遊んだ時、一緒に笑いあったあの頃の顔だった。
 その後、鈍い音が校舎に響き渡った。

「……」
「……チャチャチャ〜♪」
 メールだ。ポケットから携帯電話取り出す。暗証番号を入力しメールフォルダを開いた。としきからだった。
『ありがとう。さようなら』
「……ふっ、ふふっ」
 やっと、やっとだ。やっと死んだ。
「あははははははは」
 これでやっと、あの時の恨みをはらせたんだ。
 嬉しいのか?
「当たり前だよ」
 本当にか?
「しつこいよ。そうだよ!清々してるんだ!」
 じゃあ何で泣いているんだ?
「……?」
 頬を生温いものが伝っていた。何で、何で僕は泣いているんだろう? 嬉しいはずなのに。
 後悔しているのか?
「そんなわけがない!」
 そんなわけがない……。
 嘘つきだな。お前は。
「嘘つき?僕が?」
 じゃあ何で泣いているのだ? 後悔してるんだろ? としきを殺してしまったことを。本当は殺したく無かったんだろ? でももう後に引けなかったんだろ?
「そうだ……。僕は、あの時ことを、もし、もしとしきが謝ってさえくれていれば……僕は……」
 大丈夫。直ぐ楽になる。だってお前をを俺がとしきと同じところへ連れてってやるんだから。
「……ありがとう」

 その日、二人の死体が南陽北高校で発見された。二人とも自殺。片方の死体には自らを刺した後があった。先に自殺した生徒を追いかけるように、刺し傷があった生徒の死体が横にあったらしい。警察の見解は、殺害した後自殺を図ったが死ねず、そのまま飛び降りたということらしい。
 そして、この事件をきっかけに、陰湿ないじめの実態が明るみになった。以前に起こった二つの事件との関連性も示唆されたが、犯人は明るみには出なかった。
 その後、世間ではこの事件は忘れられ、いつしか裏サイトのことも忘れ去られていった。