13.真実へ

 その後、何日かが過ぎた。その間起きた出来事をおおまかに話そうと思う。
 まずテクノ君が退院した。そのことで一番喜んでいたのはノリだっだ。退院後、テクノ君の最初に会った時、ノリは泣き出してしまった。彼女もまた私のように襲われたことによる恐怖心があったのだとその時悟った。
 次に、七月に入り、制服が夏服になった。うちの学校は夏服は夏に着るものとはっきり割り切っているので、衣替えが他校より遅いのだ。まあこれはどうでもいいことだけど、衣替えすると何故か男子がいっそう元気になる。目の色が変わるというか……。何でだろうか。
 そして三つ目正直これが今回のメインとなる話かもしれない。
 率直に言うと、ハムラ君の携帯電話のパスワードが分かったのだ。
 何故分かったか……。ことの発端は今日の朝に遡る。
 私はいつも六時半に目覚まし時計をかける。だが、今日はいつもとは違う目覚まし音で目を覚ました。時計を見ると、まだ六時だし、なっている音はどこかで聞いたことのあるテレビアニメのメロディーだった。
 早く音を消したくて、私は音の発生源を探した。部屋を物色した結果、どうやら机の中から聞こえてくるらしい。  そこで私はハッとなった。そういえば、机の中にはハムラ君の携帯電話を仕舞っていたはずだと。
 私は急いで机の引き出しの鍵を開くと携帯電話を取り出した。そして、それを開いた。
 携帯電話を開くと、アラーム音が消えた。ディスプレイには、『六時:アラーム』と表示されていた。そして下の方をみると、何やらメモらしき物が書いてあった。どうやらこのアラームがなったら表示されるようになっていたらしい。
 私はそれを眠い眼をこすりながらゆっくり読んだ。
『今日はサンノの誕生日。だからあいつに今日真実を話す』
 私はそれを読むと一気に目が覚めた。
 真実……?一体何の事だろう……。
 私は更に中を見ようとエンターボタンを押した。
『パスワードを入力してください』
 ディスプレイにはそう表示された。
 しまった。と私は思った。そういえばロックされていたのだった。適当に番号を入力してみても、ロックが解除されることはなかった。
 とりあえず私はさっきのディスプレイに表示されていたメモを忘れないように紙に書き出した。
『今日はサンノの誕生日。だからあいつに今日真実を話す』
 まさか……。
 そうは思ったが、もしかしたらと思い、今日の日付、つまりサンノ君の誕生日を入力し、エンターボタンを押した。と、同時に画面が切り替わり、メイン画面が表れた。
「開けた……」
 思わず言葉が漏れた。
 私は悪いと思いつつも、ハムラ君の携帯電話の内容を隈無く調べた。
 メールフォルダーには特に目立ったメールは無く、かといってメモリーフォルダーにも特に何もなかった。
 だが一つだけ、手掛かりが掴めるかもしれない糸口が見つかった。
「それがハムラのプロフか」
「ミミちゃんすごっ!」
 と、ここまでの事を全て今テクノ君とノリに報告したわけだ。
 今は放課後。この話をするため私は二人を屋上に呼び出した。朝会ってすぐ話さなかったのは、時間に余裕が出来てからの方がいいと思ったからだ。
「で、委員長はもうプロフ見たのか?」
「ううん。三人で見ようと思ったからまだ」
「じゃあ早くみよ〜よ〜」
 私は自分の携帯電話を開くと、転送しておいたハムラ君のプロフを開いた。
「ぷっ。ウイングティアー(羽の涙)だって」
 ノリはハンドルネームを見て吹き出した。確かにこれは痛い……。
「なんか自己紹介のとこに書いてあるか?」
「うーん……。特に無いわね」
「あっ。日記がある〜」
「本当ね。じゃあこれ、開いてみるわよ?」
「おう」
「ほ〜い」
 私は携帯電話のエンターボタンを押した。鍵もかかってなくて、すんなりと閲覧ができた。
 だが、それは簡単に見てはいけなかったのかもしれない。

 知りたくもなかった真実を知る羽目になるのだったら……。