14.ハムラの不幸日記

 『2×09 6/1×』

今日から日記を書こうと思う。

理由はいじめだ。

これから何かされたときに証拠になるようにするため書いていく。

将来あいつらが一番幸せな時にこれを突き出して
人生を終わらせる。


 『2×09 7/2×』

放課後に校舎裏に呼び出すとかいつの時代だ。

顔がキモイ、存在がいらないと三人掛かりで袋にされた。

相手は大田、村尾、青木


 『2×09 10/1×』

金を出さないとユウもいじめると言われた。

あいつらゲス野郎だ。

断ったらぼこられた。

毎回思うがあいつらは顔はバレるからと体ばっか攻める。
卑怯なクズだ。

相手は大田、青木


 『2×09 12/0×』

今日は女子もいた。

袋にされた後踏まれたり、服脱がされたりした。

タバコも押しつけられた。

今も痛い。
跡になるかもしれない。
でもこれで証拠が出来た。

相手は青木、村尾、大田、夏目、浜中、古河


「これ……」
「酷い……」
 私達はただ愕然とした。
 私は知らないことが多すぎた。いや、自分を正当化するために知らないふりをしていただけだった。
 気づいてはいた。ただここまで酷いとは思わなかった。
「携帯かして。今度は俺が読む」
 私は躊躇なくテクノ君に携帯電話を渡した。きっと私の表情をみて、何か察したんだろう。そう思った。


 『2×10 1/×5』

三学期になった。

まあ学期をまたいでも
いじめは変わらない

変わったと言えば
最近ユウが変だ
今日は俺に声かけてきた

絶交したはずなのに


 『2×10 1/2×』

やっぱりユウがおかしい。
朝電車で声をかけられたけど
ユウが一回居眠りした後に
何か変な目で見られた。
なんだったんだか


 『2×10 2/0×』

最近里中が優しい。
何か胡散臭い。


 『2×10 2/1×』

里中はいい奴だった。
俺をかばってくれた。


「ここらへんからあんまりいじめのことは書いてないな」
「みたいね」
 そう言ってテクノ君は日記をどんどん見ていった。
「あ〜、私ちょっとトイレ〜」
「うん。いってらっしゃい」
 ノリがトイレに行った後も、私とテクノ君は日記を見続けた。


 『2×10 3/×9』

里中が北村を連れてきた。
それで一緒に帰った。

北村も俺のこと心配してくれた。


 『2×10 3/2×』

最近学校が楽しい。


「うーん。これと言って目立つことは書いてねえなあ」
「みたいね」
「後少し、日記が残ってるから、それに期待するしかないな」
 期待か……。
 少し考えてしまった。私が期待しているのはサンノ君の自殺の真実。でも、何か違うものまで暴いてしまいそうな気がしたからだ。
「じゃ、続き一気に見ちまうぞ」
「うん」


 『2×10 4/0×』

今日は里中と北村とゲーセンに行った。

こんな楽しかったのは久しぶりだ。

それにしても、
ユウがおかしい。

俺に話かけてくるし、
名前を呼んでも
俺はユウじゃないって言う。

からかってるなら
いい加減にしてほしい。


 『2×10 4/×2』

明日、里中と北村と遊びに行く。
映画とか。
楽しみだ。


 『2×10 4/×3』

殺す。殺してやる。

信じた俺がバカだった。


「な、何かあったみたいね……」
「それがハムラの自殺の原因かもしれないな」
「……だとしたら、サンノ君の自殺の原因も分かるかも……」
 さっきの考えと裏腹に、私の中に淡い期待が生まれた。


 『2×10 5/0×』

ユウがいきなり
お前を苦しみから助けてやる
って言ってきた。

何のことだ?


 『2×10 5/0×』

里中が死んだ。
クラスの奴の話だと、
裏サイトで鬼が出たらしい。

わけが分からない。

ユウの言ってたことはこれなのか?


 『2×10 5/×2』

ユウが北村を殺した。


「えっ……」
「なっ!?」
 私とテクノ君はもう一度文面を読み返した。

『ユウが北村を殺した。』

 そこには確かにそう書かれていた。
「ど、どういうこと……?」
 私はわけが分からなくなった。あんなに優しかった、サンノ君が、殺人?
 私のそのかき乱れた感情は、やがて真実を知りたいという好奇心へと変わった。
「……続きがあるみたいだ。委員長、心の準備はいいか?」
「……うん」


 こうして、私達は真実へたどり着いた。